副鼻腔炎(慢性副鼻腔炎)
nose
原因
一般に急性副鼻腔炎が治らずに慢性化したものを慢性副鼻腔炎といいます。慢性化する理由は、鼻と副鼻腔をつないでいる自然口という排泄路が細菌感染やアレルギー反応などによる粘膜腫脹により閉じられてしまい、副鼻腔に膿がたまることが原因です。たまった膿により、粘膜はさらに腫れ上がり、鼻たけ(ポリープ)が発生します。
ポリープは 胃のポリープのように自然発生としてできているものではなく 炎症によって発生しています。患者さんのなかにはポリープを取ったら完治しているように思われることもあるかもしれませんが ポリープの根部は副鼻腔にあり 鼻の通りを悪くしている部分だけを切ってとかげの尻尾を切っているようなかんじと考えてよいと思います。
症状
においがわからなくなると、味もわからないように感じる場合もあり、「風味障害」と呼ばれます。
痛みの出る場所は、いくつかある副鼻腔のどこで炎症が起こっているかによって変わってきます。
治療
治療法にはマクロライド系抗生物質の少量長期投与と手術的治療(内視鏡下副鼻腔手術)があります。以前は歯肉切開による手術が行われていましたが 手術後何十年もして術後性にのう胞(袋)ができたり(現在各病院は術後性のう胞の手術の対応に追われています) 歯肉部のしびれなどが残ることもあり 手術の体への負担も内視鏡手術のほうがはるかに軽いため 約20年前より一般的な慢性副鼻腔炎の治療に歯肉切開の手術が行われることはないと思われます。ただし副鼻腔の粘膜を除去したほうがよいと思われる上顎洞内に入り込んだ良性腫瘍、悪性腫瘍などは歯肉切開下の手術行うこともあります。
マクロライド系抗生物質の少量長期投与
クラリスあるいはエリスロマイシンといったマクロライド系抗生物質を少量で2~3か月間内服続けることで、重症例でなければ約7割~9割の症例で治癒が期待できるといわれていますマクロライド系の抗生物質は通常の抗生物質と違い、細菌を殺すこと以外に粘膜の抵抗力(抗炎症効果)を上げる効果があるからです。マクロライド系抗生物質の量は4~8mg/kgで2歳以下の幼児では副鼻腔の発育は非常に小さく 免疫も不十分なため反復感染を生じやすいため マクロライド療法の適応から除外しています
小児では副鼻腔は発達段階にあり、手術適応は10歳以上でありすでに発達したと思われる副鼻腔のみが手術可能です。そのため主にマクロライド療法抗生物質による治療になりますが、長期間使用すれば抗生剤に効きにくい菌を誘導することもありえるため、当院ではレントゲンの副鼻腔の影が消えるまで投与することはなく、症状が一旦おさまれば中止しています。
成人の場合はマクロライド系少量抗生物質を3~6か月内服し 改善ない場合は手術適応となることが多いです。
手術的治療(内視鏡下副鼻腔手術)
マクロライド系抗生物質の少量長期投与の有効性が乏しい場合や、鼻たけ(ポリープ)が存在して自然口を閉鎖している場合に行います。手術の最大の目的は、閉鎖した自然口を開放して副鼻腔の自浄作用を取り戻すことです。