神奈川県綾瀬市に開院した耳鼻咽喉科です。

治りにくい中耳炎について

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治りにくい中耳炎
ear

(反復性または難治性×中耳炎でネットで検索すると他にもでてきます)
お母さんがたにはいろいろ治療しているけど いつまでかかるのであろうと思われる方もあろうと思います。
1980年代までは,小児の急性中耳炎には抗菌薬がよく効いていました.
現在は0歳では3割、1歳では2割5分、2歳では2割程度が鼓膜切開などの外科的処置を加えても急性中耳炎の治療に1か月程度かかるという報告があります。
なんとなく微熱が続いたり、くすぶっている状態が続くことが多いです
特に2歳以下は治りにくい中耳炎をおこしやすいです。
そもそも中耳は骨に囲まれており抗生物質が非常に届きにくく菌が残りやすい環境にあります。
2歳未満の発熱の1/3は中耳炎が原因と言われております。微熱が継続していたり、耳が痛くないことも多いです。
耐性菌の増加とともに遷延例(=治りが悪い)や反復例(=何回も繰り返す)が増加してきています。

治りにくい要因

最大の原因は抗生物質に効きにくい菌が増えていること(耐性菌)

家庭環境、保育園児、受動喫煙 

過去1か月以内の抗生剤投与

熱が上がって、鼓膜をみていない場合、実は急性中耳炎だったりすると、鼻汁が減ったり 熱がさがると、抗生物質をやめてしまうとします。中耳に菌が残っていることも多く、残っている菌が次に悪化してくるときには抗生物質に効きにくい菌に変わってしまうことが多いということです。採血で炎症反応(白血球、CRP)が正常になっていても菌残っていて鼓膜が赤いこともあります(局所の炎症)
きめられた期間 抗生物質を飲んだり飲まなかったり(3回のところ2回にしたり)途中で止めたりしても 生き残った細菌が残ります。抗生物質が効きずらい菌を耐性菌といいます。鼓膜の色、腫脹の確認が非常に大事です。

抗生物質に効きにくい菌(耐性菌)増加.が治りにくい中耳炎の原因と言われています。

ただ強力な抗生物質(オゼックス オラペネム)はまだ効果があることが多く(ネットでオゼックス×抗生剤選びで検索してください)、 ただ第一選択で使用し続ければ、結局はその地域で耐性化し効きが悪くなるので 第一選択は弱い抗生物質(ペニシリン セフェム系)から処方しています。
オゼックス、オラペネムは難治化のすすむ小児急性中耳炎の切り札として、 耳鼻科医が製薬会社に頼んで開発してもらったという、 異例の経緯を持っています。
抗生剤使用量はガイドラインに準じています。
抗生物質点滴は中耳への抗生物質の移行がよいので入院して(もしくは外来点滴ができる場合は外来)抗生物質を行えば早くなおることが多いです。
当院でも必ずしも原因菌とは限りませんが鼻の菌の培養検査 耳漏の培養検査を行い 抗生物質との相性を確認しています。結果約2/3以上が耐性菌でした。

鼻副鼻腔炎など鼻症状

抗生物質投与に合わせて 中耳炎は鼻汁が原因なので鼻をかんだり 吸ってあげることが大切です。

mimi_01_001
急性中耳炎;鼓膜腫脹 内部に膿 左鼓膜上外側の発赤
mimi_01_002
滲出性中耳炎 黄褐色の滲出液があり
治りにくい中耳炎が増えてきたためガイドラインでは重症例は初診時から鼓膜切開(鼓膜をすこし切って膿を抜く)を推奨しています。
鼓膜切開をしても数日で鼓膜は閉鎖しますし、合併症は経験したこともありません。
当院では発熱があるとか急性中耳炎が遷延、再燃している場合などに鼓膜切開をしています。
以前は抗生剤内服のみと差がないという報告もありましたが、再発例や再燃例については鼓膜切開(や短期チューブ)で排膿しておいたほうが長引かせないためによい印象がありますし、薬剤耐性菌が問題になってきてからは鼓膜切開の有用性についても報告されています。 当院でも短期チューブ(TympoVent)を挿入することもあります

当院では画像ファイリングした鼓膜所見をみることによって急性中耳炎診断、抗生物質投与後3~4日目に評価し悪化していれば抗生物質変更 効果があれば続行しています。
ガイドラインでは副鼻腔炎では抗生物質5日分、急性中耳炎では抗生物質3~4日分投与で一旦効果を判定します。
抗生物質をたくさん処方してもらっても効果がなければ効かない菌(耐性菌)増やすだけで悪化してしまいます。
原因菌とはかならずしも限りませんが鼻の菌の培養、耳漏(みみだれ)がある場合は耳漏の培養を行っており抗生物質との相性を確認しています。
ただ鼓膜所見だけの判断で抗生物質を変更するか悩むケースもあります。
それは強力な抗生剤投与中でも耳所見が悪化することもあり 風邪(ウイルス感染)が引き金になっていると思われ、やはりウイルス+細菌の感染であることが分かります。
遷延性中耳炎(セミ ホットイヤーともいいます)といって急性中耳炎に近い鼓膜所見を呈していながら様子観察していくものもあり、悪化すれば再燃と判断するものもあります。

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